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これが、キリスト教会の歴史、西洋・オリエントの思想史に大きな謎を投げるナグ・ハマディ写本の発見です。二世紀のグノーシス派の文献が大量に含まれていました。私は死海写本よりずっと重要だと思っています。
ナグ・ハマディ写本の内容について、わかりやすく解説した本書が、優れた訳者・研究者によって訳されたのは喜ばしいことですが、1982年の初版では、「ナグ・ハマディ写本」そのものの知名度が低く、それほど読まれなかったようです。再刊にともない、西洋の思想に興味のある人には是非お薦めしたいと思います。
「訳者あとがき」にも言及されているように、ややテーゼを立てるのに急で論拠がしっかりしていないところがありますし、フェミニズムの傾向も少々鼻につきます。また、キリスト教の成立史に限った解説ですので、非キリスト教も含む広さをもつ「ナグ・ハマディ写本」・グノーシス思想の解説としては狭すぎるように思いました。しかし、ジャーナリスティックで明快、挑発的な文章は、翻訳も良いせいか読み易く、興奮させられます。
「訳者あとがき」の批判や、新約聖書の成立史としては、クセジュ文庫のクルマン「新約聖書」も併読すると、より良いと思います。
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