新聞の書評欄に筆者のインタビューとともに紹介されていたのを読み、筆者に衝撃を与えた浦上天主堂の廃墟や焼けただれたマリア像の写真の話に非常に興味を持ち購入しました。
現存していれば広島の原爆ドームに匹敵する重要な遺産になっていたであろう浦上天主堂の廃墟の存在や、戦後10年以上経過してから取り壊されたという事実を、長崎出身である筆者さえほんの数年前まで知らなかったということに驚くとともに、歴史的事実を後世に伝えていくことの難しさや重要さを改めて思い知らされました。
本書は、浦上に住むキリシタンの人々の歴史、浦上地区への原爆投下までの経過、天主堂の取り壊しに至る当時の長崎市長やアメリカ、教会の大司教の動きなど、順を追って丁寧に述べられています。語り口が非常に明確で堅苦しくないので、普段は軽いエッセイや小説しか読まない私もその歴史的事実にグイグイ引き込まれながら読むことができました。
取り壊されてしまった天主堂のことを思うと何ともやりきれない思いに駆られますが、この事実を「知る」ことができたことは良かったと思いますし、是非たくさんの人にこの本を読んで欲しいと切に感じました。