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31 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間精神の中の「腐海」に,
レビュー対象商品: ナウシカ解読―ユートピアの臨界 (単行本)
「ナウシカ」の孕んでいるテーマが深甚であるだけに、言葉と概念とをもって語られることの意義は大きい。特にマンガ「ナウシカ」は、アニメ版が環境や権力など諸問題の「形象」であるに留まるのに対して、諸問題が複雑に入り組みしかも二転三転する。概念を用いてそれを解明するという意味で、本書は「読解」でなくて「解読」という題を冠するのだと思う。……「青き清浄の地」が、実は触れがたき地であるという事実。ここに論旨があり、『人間の条件』や『啓蒙の弁証法』なんかを参照してユートピア論を展開する。本書はむしろ「ナウシカ」という親しいテクストを介したアーレントやアドルノ・ホルクハイマーの入門書かもしれない。けれども「ナウシカ」のユートピア観が相当ハイレベルなものであることは解る。読んで実際スゴいと思った。著者が、宮崎駿は思想家だと言っている箇所があるが、私もそれに同意したいと思う。論の展開がテクストの複雑さに引き摺られている点、著者はもう少し修行が要る。
50 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ユートピア論,
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レビュー対象商品: ナウシカ解読―ユートピアの臨界 (単行本)
よくある解説本とは違い、とても優れたユートピア論でした。マンガ版ナウシカで、旧世界のエコ・テクノクラートたちは、汚れた旧世界を滅ぼし世界を浄化し、真の理想の生態系である「青き清浄の地」を創造しました。アニメ版では、「青き清浄な地」として描かれた場所が、実は選ばれた(遺伝子操作で去勢された)人類しか入ることができない外部であるが故に、政治指導者ナウシカは、それを否定し、歴史から封印しました。僕は、この部分に物凄い衝撃を受けました。それ以外は選択肢がありえないある種の理想であり、それを拒否すれば現生人類は滅びる可能性もあるのに、誰にも何も言わずナウシカは、それを封印してしまったからです。この部分を、ちゃんと理解したかったので、とてもいい参考書になりました。 確かに、アーレント、ノージックやジェーン・ジェイコブズが普通に引用されるので、ヨーロッパ哲学をかじっていない人には、難解な概念が続出する。けれど、分かりやすいある意味教科書的な導入書だと僕は感じました。 最近『経済学という教養』という、「目利きの素人ファン」を育てるという意図で書いた作品がある稲葉振一郎さんですが、こうした素人のための教養的位置づけを考える人は、専門家ではなくて、素人に分かってほしいという視点を持っている人です。この本も、その片鱗を感じます。 別にこんな解説を読まなくても、宮崎駿監督の作品は、最高のエンターテイメントであり、それで十分だとは思います。黒澤明監督の作品の思想性を語ること自体が、間違いなのと同じことです。しかし、ことマンガ版ナウシカの深さは、何かが違うと感じていましたが、これを読んで、すっげぇぇ~と、唸りました。
42 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ナウシカについて突き詰めて考えたい人のための本,
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レビュー対象商品: ナウシカ解読―ユートピアの臨界 (単行本)
歴史に残るであろう傑作、宮崎駿の風の谷のナウシカを分析した本。読んでみるとかなり難解で、この本を読みこなせる人はかなりの読解力の持ち主であろう。漫画に対する批評本であるが、よくある人気本の解説本とは訳が違う、大学助教授の書いた論文なので、それでも読む自身がある人には勧めたい。実際、僕もまだすべて読んだわけではなく、難しい理論の部分は読めていないのだが、いつか時間を見つけて読んでいきたいと思っている。
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