本来ならBDを買うべきなのでしょうが、BD版レビューでのあまりの評判の悪さに尻込みし、かつ1枚千円(某ショップ)の安さにつられ、DVDを購入してしまいました。
ということで、旧版であるデラックス版との比較です。★の数は商品に対するものです。
映像データ:旧 4.6G → 新 5.3G ,音声(5.1ch):396M → 435M
映像に関しては間違いなくレストアされています。色調が明るくなり、旧版は暗部が潰れ、画面全体が滲んでいるような感じでしたが、精細度が向上してアップコンに耐えられる程度になっています。バルカン出版社で最初に謎の女性と会うシーンで、カメラが彼女の足元に下りて行ったとき、旧版では色違いの靴下を履いているのが分かりづらかったのですが、新版でははっきり分かります。
色調が明るくなり(おそらくこれが本来の色味でしょう)見やすくなったのは良いのですが、個人的には旧版のしっとりとした暗さの方が、映画の雰囲気には合っていたように思います。
音声については、データ量は上がっていますが、まぁ、ほとんど変わらないです。
さて、ここから悪い点を列挙します。
1.冒頭のアルチザン・エンターテイメントのカンパニー・ロゴか無くなり、ライオンス・ゲートに変わっている。確かに買収によりアルチザンという製作会社は無くなったかも知れませんが、だからといって作ってもいない映画に堂々と自社のロゴを冠するのはいかがなものか。(そんなソフトは山ほどあるのだろうけど、苦言を呈さずにはいられない。)
ついでに言いますと、カンパニー・ロゴが閉じてオープニング・ロールが始まると、旧版ではそこから紙の上をペンが走っている音が被さっているのに、新版ではロール終了後に老人が手紙を書いているシーンが現われるまでボリュームを絞った状態になっています。本を題材にした映画に相応しいオープニングの音だと思いますが、何の意図があってのことかまったく分かりません。
2.これが旧版からの最悪の改変ですが、シネマスコープサイズからビスタサイズに変更している点。画面をトリミングするということは、監督の意図した構図を無視する行為であり、これこそ正に映画への冒涜に他ならない。実際、映画の雰囲気も変わってきます。
3.僕自身は、日本語音声はあまり重要視していませんが、それでもレストアして目一杯データ容量を使ってしまったのならともかく、空き容量が山ほどあるのに、旧版の日本語音声(や監督のコメンタリー)を移植しないのは、メーカーの怠慢としか思えない。
細かいところでは、ジャケットの「ナインスゲート」の書体や、レーベルのデザイン等、全体的に作品に対する愛情が薄い点が散見されます。
結論としては、明らかに画質の向上が見られるので、この作品を好きな人ならば買って損はないですが、買うのならBDの方でしょう。
ただし、旧版を所有していなくてシネマスコープサイズの本編を知らない、か、画格サイズに関してそれほどこだわりが無い人向き、としておきます。