ル・カレの傑作であり、上下巻ともまったく飽きずに読むことができた。決してベストセラーになって万人にウケる内容ではないが、深く重厚で濃密。サラリと語られる状況にアフリカが過去から現在まで置かれ続けている悲惨さと、何も変わらない西側のありように胸が痛む。
ただ、テッサとアーノルド医師の二人の死、そして主人公のジャスティンのテッサ死後の行動について、個人的に納得がいかないところがある。
テッサたちは崇高な行為によって殺されるけれど、もちろん殺害する側をかばう点はないけれど、テッサとアーノルド側にもっと賢明なやり方があったはず。
アフリカ、という国を誰よりも知っているこの二人ならば。
そしてその夫ジャスティンの行動も個人的な盲執によるもので、美化しようと思えば美談だが、見方を変えると単なるおろかな男にしか見えない。
といいながらも、非常に面白く、この上下巻を読んでいる間は早く読みたくて、読むのももったいなくて、という貴重な時間だった。アフリカの内戦、現状をもっと知りたくなる。
ちなみに、レイフ・ファインズとレイチェル・ワイズによる映画も原作と多少異なる点もあるが秀逸。
この二人の知的な英国人俳優と原作者ジョン・ル・カレが中心となり、この映画をきっかけに「Constant Gardener Trust」が設立された。