作者はSF的設定の中である「縛り」を設け、その縛りの中で謎を論理的に解くロジカル・ミステリの大家。今回の設定は「時間停止」。
ヒロインの女子高校生は突然、時間が停止した事に驚く。周りの人全てがある瞬間のまま止まった状態になっているのだ。原因は謎の青年、末の仕業で、彼がある謎に対する疑問を抱くと他の一人(今回はヒロイン)を除いて全ての人の動きが止まってしまうのだ。彼が今回、疑問を抱いたキッカケは、彼のすぐ傍で理解不能な状態で男がナイフに刺されるのを見た事。ヒロインと末が調べて見ると、他にも十数人の男女がナイフで刺されていることが分かる。まるで、ナイフが空から降ってきたように。この謎を解かないと「時間停止」状態から抜け出せない...。
この状態を作ることによって、作中で行動する人物を2人だけに絞った点に感心した。これまでの本格ミステリで、行動する人物が2人だけという作品があったろうか。話は2人の掛け合い漫才風に進行するのだが、解決のヒントはちゃんと晒してある。
登場人物の若さもあって、非常に読みやすくなっている。ロジカル・ミステリとしての出来も秀逸で、西澤ファンならずともお勧めの一作。