ストーリーを楽しむ映画ではありません。この映画の脚本は、劇中で破天荒な飛行シーンを演じるために設計されているのです。主人公たちはフライトプランも航空管制も無視して自由気ままに飛び回ります。それを実現するために、荒唐無稽で無理ありまくりの脚本になってるんです。
だってさ、実際の航空機はがちがちの規制のなかでしか飛べないんだよ。観客がアッと驚くようなシーンを演出しようとしたら、これくらいバカやらないといけないんだよ。
その甲斐あって、飛行シーンは素晴らしいの一言。もちろんCGもちょこっと使ってるんですが、この映画がすごいのは「CGで迫力を描き足す」ことにきっぱり背を向けてること。本当の迫力は実映像からしか生まれない、だから俺たちは無理してでも実写にこだわるんだ、という哲学が伝わってきます。
主役は最新鋭機ではなく1世代前の戦闘機ミラージュ2000ですが、そんなこと差し引いても素晴らしいです。アルファジェット練習機とのランデブーも素晴らしい。何より、画面の隅々まで不自然にピントが合ってしまうCGでは絶対に描けないであろう空気感が良い。この速さで飛ぶと空気というのは分厚く重い流体になってしまうんです。それが伝わってくる。航空機ファンならぜひ見てほしい快作です。