1918年に出版された『著名なヴィクトリア朝人たち』から、ナイティンゲール伝、アーノルド博士伝を翻訳したもの。
ストレイチーの意図は二つあって、ひとつはコンパクトな伝記を書くこと、もうひとつは単なる偉人讃美に終わらないことである。前者は二人の人生の意味を明確にする。ナイティンゲールなら陸軍病院の改革、アーノルドならパブリックスクールの改革である。それがヴィクトリア朝という社会にどのような影響を与えたのか、ポイントが示されるのである。後者は二人の仕事を冷徹な目で眺め、長短を評価することになる。改革であったと同時に進歩を阻害した側面が明らかになるのである。
1918年という時代に、これだけの怜悧な眼差しを持ったストレイチーはさすがであろう。ただ、物語としての面白味はない。翻訳も原文に忠実すぎて読みにくい。