ナイチンゲールといえば、クリミア戦争の戦場で献身的に活動し看護学校を設立したことで有名だ。しかし、ナイチンゲールの本当のすごさは博愛精神ではない。
何がすごいかを言うと、勇気と統計学者の力を借りて真実を数字で証明したことだ。
真実を暴いただけでなくその改善策を実行したところにすごさがある。
同書はナイチンゲールを統計学の先駆者として見ている。
そもそもナイチンゲールは、大富豪の娘で何ひとつ不自由ない。
そんな上流階級のお嬢様がわざわざ戦地に行くのだから当時は新聞でも報道されたほどだ。
ナイチンゲールが戦地に行くと、戦争の負傷が原因より、戦地の病院内の不衛生な環境による伝染病が原因で死ぬほうが多いことがわかった。
「死ななくていい人間が死んでいると。」憤慨。
ナイチンゲールの凄さは、批判に使ったのは単なる資料ではなく数字だった。
陸軍の不衛生を証明するために統計を統計学者のウィリアムファーと組んで割り出す。
例えば、クリミア戦争のあった1854年4月から1856年3月まで一カ月単位で死亡者数を原因別で割り出した。1855年の1月なんかは負傷で死んだのが83人だが伝染病で死んだのは2761人にもなる。しかし、これを公表するのは一種の政治的スキャンダルで政府の政策の失敗を暴くに等しかった。
これによる改革は保健制度のみではなく、陸軍全体の組織改革といえる。
以後どうなったかは同書を読んでほしい。