マリリン・モンロー、ジョゼフ・コットンと聞いただけで期待大。特にマリリンは本編でどんなクリエイティブなセクシーさをかもし出してくれるのか楽しみでした。
挑発的な真っ赤なドレス、うつろな目で歌を口ずさむあたり、彼女の独壇場です。他のスターにはないオーラが画面いっぱいに満ち溢れます。しかし本編での役どころは彼女にしてみればそれほど魅力的なものではありません。映画の焦点は、マリリンのだらしない夫を演じたジョゼフ・コットンやたまたま事件の現場に居合わせた若夫婦の妻に扮したジーン・ピーターズにどちらかというとシフトしていきます。
しかし、この映画の真の主役は最後までサスペンスに満ちた舞台を提供してくれるナイアガラの滝だといっても過言ではありません。その意味においてヘンリー・ハサウェイ監督のロケーションの扱い方のうまさは素晴らしいの一言。この映画におけるナイアガラの滝は、マリリン扮する悪妻の隠れ蓑でもあり、主人公たちを飲み込まんとするモンスターでもあるのです。
いつも優れたキャラクター造形に定評のある舞台俳優出身のジョゼフ・コットン。うまさからなのか、控えめな性格がそうさせているのか、なぜか物語の中心にいながら希薄な存在です。『市民ケーン』、『偉大なるアンバーソン家の人々』、『第三の男』なども「そういえば、彼も出ていたな」などと思われてしまうこと多し。この『ナイアガラ』でもその存在感の薄さは目出っています。しかし、そこらあたりが逆に自分に自信の無いこのキャラクターのありかたとして極めて効果的だと思います。そういった意味でコットンまたしても好演。個人的には事件に巻き込まれてしまう若妻に扮したジーン・ピーターズがとてもいいとおもいます。『拾った女』でも気の強い、でもどこか可愛らしい女性を演じて印象的だった彼女。本編では大いに奮闘し、主役の一人として輝いています。
見所はナイアガラの滝。そしてそれがどのように使われているか。人物よりもロケーションにどちらかというと気がひかれるサスペンスです。