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ウェブを検索してみると、こんな家庭あるわけない、みたいなレビューを書いている人もいるので (ある意味幸せな人である)、こういう感覚がどれほど一般の共感を得られるのかわかりませんが、同世代の中では比較的父権的な家庭に育った者にとっては、かなりツボにはまる小説でありました。
本作は、著者によれば、「喪失記」「不倫 (レンタル)」と並んで「私小説三部作」を構成するとのことですが、単にマイノリティの感性を主張するというようなレベルではなく、作者自ら「主人公は未熟である」と喝破する突き放した視点があるため、一種の教養小説 (「路傍の石」とか「次郎物語」みたいなヤツね) にまで昇華されています。したがって、思春期にあって、いろんな種類の抑圧に悩む少年少女にもお勧めできる作品ではないかと思います。
どこか自分とは遠い世界にある恋愛が描かれるいわゆる恋愛小説はちっとも共感出来ないし、興味もないのですが、ここまで丁寧に現実的に描かれると、苦しいくらいの感傷が胸に迫ります。
この物語は一見、厳格で偏屈な父親のせいで主人公の置かれた設定は現実離れしているようにも思えるのだけれど、実際、ここまでとは言わずとも、「真面目」に育ってきた女性ならば、同じような環境にある人も少なくない。
抑えられてきた感情の表面化されない静かな爆発に、子供同士のそれではない恋を知り、変わり始めた当時の己の姿を重ねて一緒に静かに泣きました。「透明感のある」「キレイ」な恋愛小説に飽きた女性へ、是非。
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