有名なわりに読者の少ない古典の代表格。
確かに長いことは長いけど、読んで損はないと思います。近代小説の草分け的存在であり、なおかつメタフィクションとして、近代小説の失った面白みも兼ね備える。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサは最初の方では本当ろくな目にあいません。でも読み進めるに従って、二人のことを書いた本を読んでいる公爵夫妻に出会って、サンチョは島を一つ貰います(ほどなく返上したけど)。
主人公、副主人公たる二人の他にも、様々な人物が登場し、イベリア半島を舞台にして悲喜劇が繰り広げられます。
古典というのは時の風雪に耐え続けて、はじめてその権威を獲得する。まあそれだから面白いとは限らないのも確かです。実際サンチョの使うことわざなどは、リアルタイムで読んでいた読者たちの方が面白かったのではないか。だが、この悲喜劇は歳月を経て表面的に固くなった状態だからこそ、より抽象的な悲喜劇構造として際だつのかも知れません。
何か、井伏や太宰を思い出します。