イギリスは、美しい国である。そして、シェイクスピアやブレイクを生んだ偉大な国である。しかし、そのイギリスは、料理と映画だけは、本当に駄目である。(例外も有るが)
この映画は、第二次世界大戦中のイギリスで、空襲の下、場末の劇場で、リア王を演じ続ける老俳優と、彼の付き人で、楽屋で彼に化粧をするドレッサー(化粧係)の男性の物語である。昔、この映画が公開された時、戦時下のイギリスでリア王を演じ続ける老俳優とそのドレッサーの物語と言ふ、この映画の設定を読んで、私は感嘆した。そして、期待に胸を膨らませて映画館に足を運んだ事が忘れられない。−−空襲の下で、嵐の場面を演じるリア王を想像したのである−−しかし、見終わって得たものは、失望だけであった。こんな素晴らしい物語を着想したのだから、もっと充実した、傑作が作れて良い筈である。それなのに、結局、こんなつまらない作品しか作れない所が、イギリス映画なのだろうか。
(西岡昌紀・内科医)