2003年に出版された単行本に2006年までの活躍をまとめた一章、室伏広治との対談と序の口からの成績を加えたもの。カラーと白黒の写真も豊富で読みやすく数時間で読破できます。朝青龍の来日前のモンゴル相撲の取り組みや高校時代の写真は、目にすることも少なく貴重といえます。少年時代から、明徳義塾高校への相撲留学から新横綱で優勝するまでが中心に描かれます。綱とりの場所の記載が乏しいことを除けば、十両での寺尾との対戦や稽古場での曙との交流など、いかに朝青龍が猛稽古で横綱まで駆け上ったか、前相撲の対戦からよくまとめてあります。モンゴル相撲の関脇の父親と電話で対戦相手のことを入念に電話で話し合っていたことや兄のスミヤバザルが朝青龍より先に入門する可能性があったことなどは、ファンにもあまり知られていないことです。他には、河島英吾の仏前に焼香したこと、室伏との友情と金色の締め込みとネクタイの逸話、ウランバートルでの平和行進への参加など、知られざる心温まる逸話が織り込まれています。モンゴルでの要人やファンの歓迎ぶりの記載は日本では報道されないところで、朝青龍がモンゴルでいかにヒーローとして歓待されていたかがわかる貴重な記載といえます。両親、妹、妻子との逸話や明徳義塾の恩師や後輩との触れ合いは人間ドルゴルスレン・ダグワドルジの家庭人・同窓生としての一面がわかります。話は19回目の優勝時点で“ライバルは自分自身の気持ち”と語るところで終わっています。高知県を第二の故郷と呼び日本を愛した大横綱が引退に追い込まれてしまったのは残念ですが、その後の、さらなるバッシングと奇跡の復活、台頭する白鵬との青白時代から25回目の優勝直後の引退劇までを描いた続編を待望したい。