花降楼シリーズ第8弾。とにかく、切なくかわいらしい。人気シリーズの続編で、期待が高いだけに少々心配でもあったのですが、とても満足いくの作品になっていました。
幸薄い境遇の撫菜。それでも、けなげで純粋な心根に思わず涙してしまいます。決して気にかけてもくれなかった両親に対しても、「…お母さんが…」という一言に、愛情を欲しかった様子がにじみ出て、本当に切なくなりました。
大切にされた事の無い撫菜は、自分の命さえ価値有るものとは感じていません。常に見返りを求めず、尽くすだけ。そんな彼だからこそ、全てを拒否し殻に閉じこもったような、氷瑞の心を溶かすことが出来たのでしょう。
氷瑞に会いたい一心で楼主の無謀な賭けに応じ、色子であることを隠し近づく。しかし、彼に姑息なまねなどできるはずも無く、捨て身で氷瑞を救おうとします。
今までの、作品とは一味違い、艶めいた雰囲気はあまり無いのですが、全ての登場人物の心情が丁寧に描かれ、温かみのある、やさしい作品になっていると感じます。
全編を通じて、撫菜役の福山さんが本当に可愛らしく、聞けば聞くほど涙が出てしまう。思わず撫でたくなる…絶妙の演技です。中村さんの不器用な愛情や、脇を固める成田さん、遠近さんの深い表現が垣間見えて、厚みのある物語に仕上がっています。
是非、繰り返し聞いていただきたい一枚です。