本作は、柳沼行の『ふたつのスピカ』をドラマ化したものである。物語は、日本初の有人宇宙探査ロケット獅子号の打ち上げから始まる。しかし、獅子号は上昇中に爆発し、鴨川アスミの住む唯ヶ浜へと墜落してしまうのであった。それから10年、鴨川アスミは、国立東京宇宙学校の宇宙飛行士コースに入学する。獅子号墜落という悲しい過去を背負いながら、鴨川アスミは仲間達とともに宇宙を目指すことになる。
とりわけ、全7回という短い放送の中で丁寧にまとめ上げたのは、さすがNHKといったところだろう。キャストも桜庭ななみをはじめ、中村優一、大東俊介、足立梨花、高山侑子の若手を大胆に起用し、それをベテランで支える無駄のない配役は見事と言わざるを得ない。泣いて、笑って、喧嘩して、そして夢に向かって成長していく子供達とそれを温かく見守る大人達。多くの人々に幸せを与えられる作品に仕上がったのではないかと思う。
ただし原作と違っている部分が多々あるため、原作のファンには注意が必要である。例えば原作で登場するライオンさんなどのキャラクターが存在しないほか、登場人物の設定にも細部で変更が加えられていることには留意してもらいたいと思う。それでも決して不満の残るようなものではなく、むしろ原作から大いに昇華した作品になったと言えるだろう。
なお、このドラマを演出した音楽21曲が収録されているオリジナル・サウンドトラック「
ふたつのスピカ」もオススメである。