「春だぜ」
読了後、54歳の中で眠っていた10〜20歳代の私が、突然、冬眠から目覚めた。「もう春だぜ」と。
本書は、詩ではなく、いわゆるアフォリズムでもなく、ましてやおしゃべりでもない、108つの短い言葉で構成されている。
読むのは簡単だ。が、しかし、決して読みきることはないだろう。
日々の暮らしの中で、読者一人ひとりが書き直したり、書き足したり、書き継いでいくものだからだ。
生きる背筋としての言葉、何より生き延びるために手渡された覚書、そうして暮らしの春へ向けての伝言。
情報過多というより情報の水増し状況の中で多忙な私たちだが、本書を通じ、すれ違いざまにきつかわ和尚から発せられる確かに立ち上がってくる言葉との出合いを体験できるだろう。
新しい方法の誕生も目撃できるはずなのだ。