ブルースの作品群に於いて、どれもが甲乙を点け難いほどなのだが、
その中で、敢えてお気に入りの作品は?と問われれば
この「ドラゴン怒りの鉄拳」と答えるのかもしれない。
ブルースリーという役者はもともと、その存在感自体が演技力それ自体を
表現できているので、怒りの鉄拳のような終始セリフが少ない役どころは
逆にブルースの存在感を浮き彫りにしている。
また、ブルースリーの映画の全てに言えることなのだが、ストーリーが
複雑ではないところも、結果的に作品の魅力を強くしている。
逆に言えば、単純なストーリーだからこそアクション映画としてのアクションも
映える所以であり、それだけつまらない映画になるか面白い映画になるかとは常に
表裏一体な難しいジャンルとも言えるのかもしれない。
この「怒りの鉄拳」もブルースでなければ、思い切りこける映画になったことであろう。
(後のこの映画のリメイク版などを観れば一目瞭然というものだ)
敵道場での明らかにばればれの、人形を投げているシーンなんかどうでもいいのである。
初のヌンチャクの披露もその後の「ドラゴンへの道」での、絶妙な妙技から比べて
しまえば、些か劣っている感も拭えないが、あれは、あれでまたかっこいいのだ。
そう、この作品を一言で言ってしまえば、この作品のブルースは「かっこいい」の一言に尽きる。
ネガティブな感情からそれを絶大なパワーに変えてくれる映画。
僕は未だに、彼の鋭い視線に釘点けにされ続けている。