改が放送開始される時、まず不安に思ったのはBGMがどうになるかでした。結局山本健司氏の新曲となりZまでの菊池氏のものとは替わることとなったわけですが、実際の放送を観てみてさほど悪くはないというのが第一印象でした。「これってどんな場面で使えばいいんだ?」と言いたくなるような浮いた曲はあれど、BGM自体はこれはこれで楽しめるものであるし許容範囲だと思っていました。今回の8トラック目「奇怪な生物」や12トラック目の「Ominous Silence~不気味な静けさ~」などは好きな類です。
しかしどうしたことでしょう。7トラック目の「新たな敵の出現」はどう聞いても「ターミネーター4」のオープニング曲そのものです。加えてトラック11の「一進一退 」はこれもまた世界中で大ヒットとなった3D映画「アバター」の「War」という曲の丸ごとコピーです。ブックレット内をひと通り見渡してもワーナー等のクレジットは見当たらないので無許可だと思われます。
かつての菊池俊輔氏のBGMでも洋画の曲に似ているものはありました。無印初期にはジョーズのパロディ曲がありますし、レッドリボン軍編のM108は007シリーズのメインテーマのパロディです。こういった曲は大抵発注する側のスタッフから具体的な映画タイトルを示して「〜風に」といった指示があり作られるのですが、これもそもそもが西遊記のパロディから始まりコメディ色の強かった無印前半だからこそだったわけで、シリアスな雰囲気が作品を支配し始めるピッコロ大魔王編以降はパロディ曲も鳴りを潜め、Zの曲は他作品の模倣無しの完全オリジナルを最後までほぼ貫き通しました。
ターミネーターをアイディアの元にしていると思われる人造人間編においてT4の曲を持ってくるのは上記のようなパターンであった可能性もありますが、元のフレーズを残しつつも新たな曲に昇華させた菊池氏のものとは違いこちらは完全なコピーと言っていい代物です。また、アバターに至ってはテーマ上でも関連性は無く、とりあえず人気作の曲を頂いてしまおうといった悪意すら感じられます。この曲が初めて流されたトランクスがフリーザを真っ二つにするシーンではZでも同じ山本健司氏による「BP∞」が流されており、しかもそちらもドイツのバンド「Propaganda」の複数曲の切り貼りであることが判明しています。非常に皮肉な話です。
ドラゴンボールは世界中で人気を集めており、改は海外輸出を前提に作られています。既にアメリカや東南アジアでは放送が始まっていて、上記2曲がTVで流されるのも時間の問題です。山本氏はこんなことをして単純に恥ずかしくはないのでしょうか。それに、場合によっては作曲者個人だけでなく作品そのものの国際的な信用や評価を損ねることにさえ繋がります。一ファンとしても冒頭で挙げたような曲まで「もしかしてこれも…」と思ってしまい、純粋に楽しむことができません。山本健司氏は今一度色々と考え直す必要があるのではないでしょうか。
※追記※ 結局、最終回を目前にしてBGMの全差し替えという最悪の結果になってしまいましたね。作品のファンとして、本当に残念です。