近代では最も有名な恐怖マンガ代表格ともいえる作品。
いまだに賛否両論が止まない作品でもある。
まず作画だが、これは私は十分アリだと思う。
ぶっちゃけた話、ぜんぜん巧くない。
しかし、その汚い線運びや不気味に歪んだパースが、
おどろおどろしい雰囲気の物語に妙にマッチしている。
物語の暗さと絵柄の不気味さ。
ホラーマンガにおいて、なかなか良い組み合わせだと思う。
ストーリーも私は嫌いではない。
謎の大災害により、脱線し死体だらけとなった新幹線の中に、偶然生き残っていた
主人公『テル』が取り残されるという壮絶なシーンから物語は始まる。
そしてもう一人、偶然生きていたもう一人の生存者『アコ』と共に、
家のある東京に向かうこととなる。
謎の大災害により、旅の舞台は全て、つい最近までの原型をとどめておらず、崩れ落ち
死の灰が降り積もり、生き物の気配すら全くしない。
食料の確保さえ困難な極限状態。
出会う人間はほとんどが多かれ少なかれ発狂状態に陥っており、
平和な日常からは考えられないほどの様変わり要がまざまざと描かれている。
そして出会う、新たな仲間や謎の不気味な集団…
とにかくストーリーが恐く、一瞬も油断できない展開である。
死への本能的恐怖が、ページをめくるごとにつきまとってくる。
コマ割りや時系列のスピード感も適切で、緊張感ある展開を違和感なく楽しめた。
ここまでは良い。非常にいい。
ここまでだったら文句なく五つ星の作品だ。
しかし気に食わないのは、壮絶な旅の果てにおとずれる『ラストシーン』…
これの演出がこの作品の価値を爆発的に下げている。
まったく持って意味不明。
ストーリー中盤からラスト直前まで、物語はものすごくヒートアップする。
本をつかむ手がじんわり汗ばむ程、緊張感ただようスリリングな展開で引き込まれる。
そして、ラスト!!…え、えぇ〜!?なに!?これで終わり!?!?
あの壮絶な旅は、こんな陳腐なラストへの伏線だったのか…と考えると、
それまでにハラハラドキドキしながら読み進めてきた意味が全て台無しになる。
最後のシーンさえ良ければ、歴史に名を残すほどの名作だったはず。
『終わりよければ全て良し』とはよく言うが、この作品には
『終わりダメなら全てダメ』と言いたい。
惜しい。惜しい。惜しい。
非常に惜しすぎる作品だと私は感じる。