この手の知的ユーモアあふれる創作ドキュメンタリーの歴史を振り返ると、しばしば、驚くほどの傑作が散見される。
たとえば、最高傑作の部類に入る作品を挙げれば、生物学の論文形式をとっている『鼻行類』、米シンクタンクの報告書を模した『アイアンマウンテン報告』、そしてドキュメンタリーであれば『第三の選択』(BBC)に、『アインシュタインロマン』第6巻目(NHK)まで、それはそれは無駄に豪華で由緒正しい粋な伝統がある。
その真髄は、知的素養とユーモアを背景に、必要なでっち上げ以外は、学術的な知見や実在する資料を足下に踏まえ「馬鹿であるか極めて無茶な大ボラ話」を「合理的な根拠に基づいて説明された理に適う話」として仕立てあげるところにある。
そして本作は、その意味で非常に優れた作品であり、先に挙げた偉大な作品群の末端に加わり得るエレガントな疑似ドキュメンタリーである。
なにせ、筋を通そうとする「馬鹿であるか無茶な大ボラ話」が、生物としてのドラゴンであり、しかも、恐竜の時代に生まれつつ、6500万年前の大絶滅を生き延び、きちんと進化し、種分化し、最近になって絶滅したという話なのである。
難易度は高い部類のお題である。しかも、世界の伝承に登場するドラゴンと龍の形状の違いも説明し、シーサペントの目撃談もフォローし、逃げても許されそうな「炎を噴く」機能まで、解剖学的に解明したかと思えば、空を飛ぶには巨体過ぎる問題からも逃げずに説明してしまう。この正面から挑む気概には、漢(おとこ)心がくすぐられる。
出来栄えに関していえば、科学考証にどこまでこだわるかの個人差はあるかもしれないのだが、私としては非常に楽しめたので、高く評価する。本当に面白かった。
なお、これまで、この方面ではイギリスがダントツで強かったのだが、本作はアメリカの作品であり、これからこの分野の発展を期待して止まない。
そんな期待も込めて★は5個!