藤代冥砂氏というと『週間 井川遥』とか、女の子がお尻をペロンとめくっている写真くらいしか知らなかったが、小説も書いていたとは知らなかった。
全部で55編、各章5〜6頁の掌編で、表題は通りの名前で統一されている(紀尾井町通りとか国道138号線とか)。
女性の視点で書かれていて、通りの名前に、車がストーリに絡んで、男女の様々な愛のカタチが描き出される。
女性の心理が延々と数頁にわたって綴られた『意識の流れ』みたいな実験的なものがあったり、数章に渡って同じ場面を違う登場人物の視点から描いたりと、実験的なこともしていて、意外と面白い。
それより何より、文章に手馴れを感じて、『これ、本当にご本人が書いたのかなぁ??』っと思うくらいに上手いのである。
本職の小説家でもなかなかこれほどの文章は書けないと思う。
劇団ひとり氏の小説もアイデアは面白かったと記憶するが、文章という点で見ると明らかに拙劣な印象をもったが、こちらはまさにプロの文章である。
一遍が短く、内容は各章が独立して繋がりはないので、一篇読むごとに頭を切り替える必要があって、一気に読むのには適さない。
寝る前に、ナイトキャップ替わりに数編読むのが良いだろう。