初期の「ドラえもん」ではのび太のしずちゃんへの想いは、のび太の一方的なあこがれであり、
しずちゃんの態度もそっけないものでした。
小学生の恋ごころですから、まだ愛とまでは言えない段階なのは当たり前なのでそれはそれで正しい描写です。
しかし、連載を経るに従って、しずちゃんも随分と優しい女の子になり、
二人の距離もだんだんと近づいてきています。そんな微笑ましい過程を読むのも楽しいです。
この10巻では、のび太がしずちゃんと一緒に真面目に勉強したり、
魚釣りでしずちゃんに楽しい思いをさせてあげようと腐心したりと、
恋を自身の成長の糧にしている姿が見られます。(これら以外にも、二人の仲の良さが描かれたシーンが幾つもあります)
「のび太の結婚前夜」(全集9巻収録)で、しずちゃんのパパがのび太を褒めるシーンがありましたが、その目は正しかったということでしょう。
その他のみどころ
スネ夫のいとこ(スネ吉にいさん?)の登場回が多いです。
のび太にとっては、のけ者にされる前フリでしかないのですが、改めて見てみると、年下のいとこと、その友達を快く遊びに誘うスネ吉にいさんはかなり気のいいお兄さんだなという印象ですね。
巨大人型ロボを中心にしたエピソードが多いのも特徴です。「宇宙ターザン」(全集7巻収録)でも解るように、子供たちに人気のヒーローはウルトラマン・仮面ライダーといった特撮キャラクターからアニメの巨大ロボへとシフトしていた時期の連載作品です。子供文化の歴史的資料として見るのも一興でしょう。
小学六年生3月号掲載分は久しぶりに最後をしめくくるにふさわしい、メッセージ性の強いエピソードでした。