エスプリ編ということで、世の中を風刺した作品が集められている。「どくさいスイッチ」は世間にもよく知られている話で、もし自分の気に入らない人間の存在を次々に消すことができたらその先にはなにがあるのかというストーリー。他にもお金が無限に作り出せたらとか、自分の好きなようにルールを作り出せたらとか欲望の先にある破滅を描いたブラックユーモア的な話が並ぶ。といえども、あくまでドラえもんは小学生に向けて描かれたマンガ。けして救いのない結末に終わらず、くすりと笑って終了になる。あとがきにも書かれているようにこの世を正しく生きるための道を、子供たちに(そして大人たちに)分かりやすく教えてくれる。偽善でない究極の道徳の教科書、それがドラえもんなのかもしれない。
ひとつ注意。テーマ別編集シリーズは、編集者のえらんだ「エスプリ」編であり、ドラえもんの中には他にもエスプリを感じさせる作品がいっぱいある。この本を読んだら是非自分なりのエスプリを探しに本編のほうに進んでほしいと思う。また、「昔読んだあの作品、風刺っぽいからエスプリ編に載っているはず」とこの本をとって乗ってない!なんてことになるといけないので収録作品をちゃんとチェックしてから購入しよう。