7月のある蒸し暑い午後、営業成績の締め切り日を迎え色めき立つ生命保険会社から、差し入れ買い出しのためにOLが東京駅に向かって走りだす。ここを物語の出発点として、ミュージカルのオーディションを受ける母娘、俳句仲間とのオフ会のため初めて上京した老人、ミステリーの会の幹事長のポストを推理合戦によって決めようとする学生たち、従妹の協力のもと別れ話を成功させようともくろむ青年実業家、訪日中のホラー映画監督など、さまざまな人間が複雑に絡みあうなかで、物語は日本中を揺るがす大事件へと発展していく。
状況ごとにかき分けられたプロット同士が因果律によって綿密にリンクしあい、登場人物の内面に深く入り込んだ視点によってできごとが相互主観的に語られていく。井上夢人の傑作『99人の最終電車』を連想させる作品だ。人物造形や状況描写などが多少パターン化されている感は否めないが、登場人物が東京駅に集うクライマックスに向けて、ジェットコースターに乗っているかのような気分で一気に読ませる手練には驚嘆せざるを得ない。エンターテイメントに徹した快作である。(榎本正樹) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ドタバタアニメ風コメディー,
By
レビュー対象商品: ドミノ (角川文庫) (文庫)
まずは、冒頭に掲載の東京駅の地図を頭に入れましょう。そして、登場人物の紹介のところをよーく読み、それぞれのキャラのイメージをつかみましょう。いいですか、用意できましたか?ではスタート!冒頭で繰り広げられる登場人物それぞれの視点からの物語。キャラはみんな個性的で印象に残ります。やがて、彼らは偶然に引き寄せられて東京駅に集結。ドタバタな事件のスタートです! 息をつかせぬノンストップアクション。次々と人物の視点を切り替えつつ、フルスピードでお話を進めつつも、読者を混乱させない描写力はさすが。「こち亀」のようなギャグアニメの映像が頭の中に浮かんできます。 普通に考えると「ありえねー!」という展開の数々ですが、ジェットコースターのような本作ではなんでもありでしょう。 最後まで一気に駆け抜ける爽快感。そしてエンディングロールの直前に残された最後のおまけ。映像的な効果を100%発揮した本作は、小説というよりも映画のような読後感です。 なにも考えずにスッキリしたいとき、おすすめ。
15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
面白かった,
By ゆり - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ドミノ (角川文庫) (文庫)
面白かった。一気に読めます。 登場人物が27人と1匹と多いけど、こんがらがったりすることはないです。 特に誰かに共感したりということはないけど、 「この先はどうなるの?」 とページをめくる手は止まりません。 「どらやの黒い紙袋」がどんどんと入れ替わって、それを探す人、入れ替わったことに気が付かない人。 登場人物が交差して、最後はほぼ全ての人が東京駅丸の内側に集合。 舞台は東京駅メイン。 東京駅をちゃんと知ってる人が読んだら状況がわかりやすいかな。 最初に登場人物の名前と一言があるので、読み終った後に読むと、その一言が的確に表してることがわかる。 何かが残るわけじゃないけど、読んでる時間は楽しめます。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ドミノ,
By
レビュー対象商品: ドミノ (文芸シリーズ) (単行本)
サクサク読めます。気負いせずに読書したいとき向き。保険会社の〆から子役オーディション、俳句サークルのオフ会などなど恩田調のキャラクターが錯綜するストーリーがそれぞれのレールで進行しつつ駅に集結。大団円を迎えます。 装丁もいいし、人物紹介のコメントイラストもぐっときます。 これらは文庫版では拝めません。ただ、文庫には解説に米原万里。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|