LPの全盛期の昔には、ワルター・ギーゼキングの演奏するドビュッシーは
まさしく定番といえる評価を受けていたものだった。彼の演奏の特徴は
何よりも、その玉を転がすような美しい音色とタッチだろう。エチュード
の録音なんかはそれを上手く伝えてくれている。その冷静且つ正確な演奏
は即物主義とまで言われたほどバランスの取れた解釈だった。解釈と技術
を併せ持った彼の演奏の魅力が聞くものを圧倒的に魅了したものだ。
私もそれこそLPを擦り切れるまで何度も聞き込んだものだ。その後CD時代
になって古い録音は忘れられ次の世代のミケランジェリなどが現れると、
彼の演奏は次第に聞かれなくなっていったが。このCDE化された彼の演奏は
我々の心にしっかり記憶に残っている。忘れがたい思い出の一枚。
他にラベルの全集やモーツアルトの全集などと併せて私の愛聴盤だった。