アルバン・ベルク四重奏団は、その名前のとおり新ウイーン学派演奏の旗手として登場した。しかし、たとえばベートーヴェンの弦楽四重奏曲集を聴いて、その完璧な構成力に魅了されたリスナーも多かろう。
本集は「フランスもの」が中心のプログラムだが、弦楽四重奏曲に関して、ドイツ的とか、ウイーン風とか、プロ・フランスといった区分自体、あまり意味がないようにも思える。この演奏を聴いていると、いわゆる分析的な演奏であり、あらゆるフレーズの<有意>な意味をあまねく表現しうる方法論を彼らが希求しているのではないかと感じる。
秀でた音楽家が、楽曲を分析し最高の「ひとつの響き」に昇華するために徹底して統一感を追究するといった場をここに実感する。ドビュッシーやラヴェルの見事な楽曲構成やメロディの華やぎに驚くことからはじまり、それを紡ぎ出す本団の深い解釈と技術に脱帽する。それは、真のユニバーサルさの模索と言っても良いように思う。