一言でいうと、難解で魔可不思議な物語だ。それなのに言葉にしつくせない魅力がある。私は、謎ときパズル的な作品を観る場合、ラストですべての謎と伏線がきっちりと納まるところに納まらないと気がすまないたちである。そうでないと、観おわって損をしたような気分になるのだが…。この作品は最後まで観ても謎が全部は解けない。ラストで謎の中心(ウサギの正体とか世界の終わりの意味とか)は解けるのだが、解明されないままの謎も多いし、オチは掴めたといっても、それがドニーの幻覚なのか超自然現象がからんでいるのか、はたまた神の業なのか、一番気になる点については説明不足になっていて、観客に解釈が委ねられている。 だから私的には苦手な部類に入るのに、何故かひきつけられ、途中の支離滅裂にも思えるストーリーにも飽きることなくラストまでひっぱられたのは、私の場合はひとえに主役のジェイク・ギレンホールが魅力的で、感情移入できたから。彼の見せる繊細で大胆な演技。時に愛らしく、時には狂気をはらんだ哀しげなその瞳の表情には心を引き付けられる。切なくて、胸がいっぱいになった。ドニーはジェイクだからできたと思う。その彼が、数年後にはまた成長してブロークバックマウンテンでまたすばらしい演技を見せてくれたのだけど。