最近NHKに出演したドナルド・キーン氏、確か89歳だったと思う…
彼のニューヨーク郊外で始まった子ども時代から、
アジア人との出会い、源氏物語・日本語との出会い、
戦争で従軍通訳としての日本兵との出会い、戦後の日本、
日本文学への憧憬、さまざまな恩師や作家との出会いと別れ…
興味深い人生を送っているキーン氏の、読み応えある自伝である。
平和を愛してやまなかった少年が、日本語を学びたいがために
海軍に入り日本語を学んだり、日本兵捕虜に誠実に向き合う様子は、
暗い記憶が多い太平洋戦争の中でも慰められるくだりである。
ノーベル賞が三島と川端を殺した、という解釈も、非常に興味深い。
震災を経験し、改めて彼は、日本人になることを決めた。
そんな彼の今までを知る、貴重な自伝だ。
謙虚で丁寧で、誠実で人を思いやる気持ちであふれている人柄を、
文章から垣間見ることができた。