カラマーゾフの新訳、第2の小説の空想と、大いに楽しませていただいたが、2007年、さらにもう1冊お楽しみがあった。 これは亀山ドストエフスキー論の当面の結論である。カラマーゾフの解説等では書かれていなかった「スメルジャコフの父親はだれ?」について、独自の見解がなされている。またドストエフスキーの時代には「堕落した父=皇帝」「去勢派=農奴」と考えることが出来ても、グローバリゼーションが進行した現代では、亀山は「堕落した父=アメリカ」「去勢派=イスラム」と捉えている。でもここまではっきり、あからさまに言い切って、少しやばくないか?
この本は、カラマーゾフに止まらず、「罪と罰」から始まる5大小説の解説本にもなっている。これが実に面白い。願わくは、外大の学長に就いたばかりの多忙な亀山先生には申し訳ないが、できるだけ早く翻訳業に復帰されて、より詳しいドストエフスキー論をもっと書いていただきたいものである。