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ドサ健ばくち地獄 (下) (角川文庫 (5835))
 
 

ドサ健ばくち地獄 (下) (角川文庫 (5835)) [文庫]

阿佐田 哲也
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 280ページ
  • 出版社: 角川書店 (1984/09)
  • ISBN-10: 4041459656
  • ISBN-13: 978-4041459652
  • 発売日: 1984/09
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By 道奥太郎 トップ100レビュアー
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麻雀小説としては最も有名な阿佐田哲也の「麻雀放浪記」の登場人物の一人、ドサ健。
この小説はそのドサ健を主人公に、ばくちに溺れる人たちを描いた小説です。
本巻の分量は280ページですが、テンポがよく所要は2時間半程度でしょうか。

題材となるばくちは手本引きと麻雀です。
一発当てようと群がる人たちや、彼らを食わんと企む輩により
勝負と駆け引きが繰り広げられます。

「賭場では、万札がハナガミだ」というフレーズが何度も出てきます。
初任給1万円台の時代に、平気で十万、百万と賭ける人たち。
スケールは違いますが、一円の価格差を気にする主婦が
平気でパチンコに突っ込むさまを見れば納得です。

ばくちにはまった果てには何か到達点があるわけではなく、
さらにその上のレートのばくちがあるだけ。それを思い知った気がします。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
阿佐田哲也の小説の中では最も好きなもの。全体を通して流れる陰鬱な空気がたまらない。

麻雀放浪記の続編と言うか、後日談というか。麻雀放浪記のもう一方の主人公とも言えるノガミ(上野ですな)の健が主人公である。時代は麻雀放浪記からざっと10年後の昭和32年〜33年頃と小説の最初に記されている。

麻雀放浪記と決定的に異なるのは、負けたときの傷の深さだ。

戦後、宿無しがなけなしの金をいきずりの相手と賭けあっている限りは、負ければとんずらすればいいし、無一文になったところでたかが知れている。主人公もドサ健もまだ若くやり直しが効く。負けることは誇りを失わせるけれども、人生そのもをひっくり返す痛手にはなりにくい。

しかしこの小説のバクチレースに飛び込んでくる登場人物は、みな積み重ねてきた社会的キャリアを持っている。証券会社、葬儀屋、噺家、八百屋、娼家、バーテン、最後に勝ち残る利之にしてもばくち打ちとして営々と積み重ねてきた現金というキャリアを賭ける。いずれも失えばもう立ち直れないほどのもの、すなわち人生そのものを賭けてたたかう。身軽な若者ががむしゃらにたたかっていた麻雀放浪記と色合いが違うのは、この点にあり、50歳手前にさしかかった私にはそれがたまらない魅力となる。

この小説は20年以上繰り返し読んでいるが、最近ある描写に気がついた。

それは、下巻の手本引きの場面にある。

親が置いた札に対して、子が相談をしている。(子同士は直接勝負をするわけではないので相談してもいいのである。競馬の勝ち馬を相談するようなもんだ)
「何が来ると思う?」
「これ」と手札を見せる。5である。「あんたは何だと思う?」
「それの二つ兄貴」
5の二つ上だから1である。
と言う描写。

今の今まで読み飛ばしていた。

1を表すのに、5の二つ兄貴、と言う言い方
この会話は実際に賭場に出入りしていなければかけない。
5の4っつ弟、でもいいのに何故兄貴と言うかと言うと、ある場面でみっつ兄貴と言い、ある場面で4っつ弟と言うと、隠語で言った意味が無くなるのである。
兄貴と弟を併用すると4つ弟と言うと1,2,を特定する事になる。あるいは、兄貴と言うと5,6を。それが、兄貴一本やりだと、結局なにがなんやらわからんことになる。

このことを阿佐田哲也が意識的に書いたのか、あるいは無意識に賭場に出入りしていた頃の会話を思い出して書いたのか、今となっては不明だ。
しかし、どちらにしてもすごい。
意識的であったとしたら、そのテクニックと同時に、あまりにさりげなく書いていることにぞっとするし。無意識にその言い方が身についているのだとしたら、そこまで賭場の空気になじんだ、と言うことに驚く。

もう、何十回と読んだこの小説のこの場面に、今まで気がつかなかったこんな凄味が隠されていたのだ、と思うと、阿佐田哲也の実力を再認識したのである。
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
阿佐田哲也氏の感性が存分に発揮された一冊。手ホンビキ、麻雀などのギャンブルの描写もさることながら、主人公ドサ健を中心とした登場人物の心理描写が物語により深みを持たせている。
ぜひとも上巻と併せて読みたい一品。
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