第一次世界大戦から共産主義革命を経てロシア帝国がソビエト連邦へ変貌する、まさに激動の時代に翻弄されながらも自らの心に忠実に生きた男と女の物語。
巨匠デヴィッド・リーン監督によるエピック・ロマン大作です。
主人公の一生と思想を時代背景と共に事細かに描いた長大な原作を絞り込み、登場人物の背景は窺わせる程度に留め(例えば、ジバゴが愛人の子であること−ラーラの過去を知りながら偏見なく愛したのはそのためか?)、「その時、どう生きたか」に焦点を当てた人間ドラマになっています。
大地のすべてが凍てつく厳寒の冬、生命が一斉に芽吹く春といったロシアの「母なる自然」を余すところなく描いた映像(ソ連国内の撮影が許されず、ロケ地はカナダ他だったそうですが)と、あまりにも有名な主題曲の美しさが心を離れません。
時代の潮流に呑み込まれていく人々の末路は、当人たちの矜持はどうであれ、やはり悲惨と言えますが、その生きた証が次世代に確かに受け継がれていることを表したラストシーンには胸が熱くなります。
ソ連解体から20年余、原作者パステルナークの名誉回復も遂げられた今こそ、この映画が現代のロシアに生きる人々によって自国の言葉と映像で再び作られることを願ってやみません。