子どもを襲い、残酷に殺害。そして死刑が執行された宮崎勤と宅間守。また、確定囚として拘置されている小林薫。彼らは取り調べでも裁判でも謝罪をいっさい口にせず、あるいはむしろ積極的に死刑になることを希望した。では、彼らにとって死とは何なのか。その凶行は,特殊な人間による特殊な犯罪だったのか。極刑をもって犯罪者を裁くとは、一体どういうことなのか。彼らと長期間交流し「肉声」を世に発信してきたジャーナリストが、残忍で、強烈な事件のインパクトゆえに見過ごされてきた、彼らに共通する「闇と真実」に迫る。
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25 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心の闇を照らすとそこはまた闇,
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レビュー対象商品: ドキュメント死刑囚 (ちくま新書) (新書)
幼女連続殺人の宮崎勉、奈良の幼女殺人の小林薫、 そして大阪池田小襲撃犯の宅間守。 そして若干の林眞須美。 こういう人々の心のあり方を取材を中心に明らかにしている一冊です。 なかなかの力作です。 まず本人も含めての取材の成果として、 本人の心の中にかなり踏み込めているところが、 類似書と異なる。 書簡のやり取りや接見を続けることは、 通常のジャーナリストや学者には難しいことだとうと思う。 そういう活動を通してそれぞれの人格に迫っているところが、 読み応えがあった。 もう一点、本書が優れているのと感じた点は、 通常このように対象者に近づくとどうしても著者の視点も対象者よりになるものであるが、 本書は冷静に犯罪と背景を分析し続けている そこも簡単ではない。 さて本書を通じて分かったのは、 重大な犯罪を起こす人間の絶望や浅はかさの深刻さ。 犯罪の被害を防ぐことは彼らの気持ちのありようをどこかで救う必要があるが、 それがいつ誰によってなされるのか。 現実は厳しいと感じた。 確かに犯罪は社会的な文脈で理解する必要がある。 それは本書の主張だと思う。 だからと言って、 社会の側から孤独な若者に歩み寄って、 彼らを救済することは不可能だと、 本書を読んで感じた。 心の闇を照らすとそこはまた闇しかない、そんな一冊。
12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
非・悲劇,
By big_sis_rie (京都市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ドキュメント死刑囚 (ちくま新書) (新書)
著者が選んだ死刑囚たちは、決して「悲劇の主人公」にはなり得ない人間だった彼らには、悲劇を彩るべき要素といったもの、例えば貧困、復讐心、嫉妬、それらのものがまるでなかったのだから 彼らにあったのは、常識では考えられない「歪み」 あるべき人間の姿からはあまりにも外れた倫理観と道徳観だった その中心にいるのは「自分」だけ 彼らにとっては「他者」も「社会」もあってないようなものであり、その存在は「自分」が「自分」でいることを許さない、肌触りの悪い下着のようなものであったのだろう だから彼らはそれをまとうことを嫌った そして私たちは「裸」のままでいる彼らを忌み嫌う それは歪みきった本能を丸出しにして腐臭をまき散らしながら歩いているようなものだからだ しかし著者はその腐臭の原因を探ろうとする 彼らがなぜ下着を嫌うようになったのか そして見つけた要因が「家庭崩壊」と「そこにおける暴力」だった 父親と母親が相応の役割を演ずることがなく、死刑囚たちは子ども時代に「社会」の縮小版である「家庭」を知らずに育つ そこであるべき役割分担、義務と権利、責任と自由、 そういった社会的な規範をまるで学ぶことなく彼らは成長した 特に考えるべきは各種の暴力だろう 身体的のみならず、無視や過度の束縛も暴力の一部である 幼少期からそういった暴力を受け続けていると、極端に依存心の強い、自我の曖昧な人間ができあがる 彼らは自らのその曖昧さに怯え、それを解消するために、何らかの具象的な影響力を及ぼさずにいられない 目に見え、社会に己の存在を知らしめる、最も短絡的な方法 それが、犯罪だ 現代的な「非・悲劇的」犯罪の最大要因は家庭内暴力なのだ これはほんとうに、もっと注視、重視されていい社会現象なのに、現実がそうでないことがもどかしい
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
死刑よりも復讐,
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レビュー対象商品: ドキュメント死刑囚 (ちくま新書) (新書)
不倫相手の男性宅に放火し子どもたちを焼死させて服役中の無期懲役囚がいる。囚人は、獄中から中央大学の通信制で社会科学を専攻し勉強中だという。日野不倫OL放火殺人事件の加害者女性のことである。入学を許可した中央大学の品位を疑うが、その「前向きな意志」に「心を打たれた」という著者の基本的な道徳観も疑う。いくら手記を雑誌に載せさせてもらった仲とは言え、「出所したら私の経営する創出版で雇う」と約束しているそうだ(P.235)。出版社だけに、よく燃えると思う。宮崎勤、小林薫、宅間守の三人とも精神鑑定によって、「反社会性人格障害」と診断され、責任能力は持っていると判断されたため、死刑は可能になる(P.13)。2011年10月時点で、小林薫のみ、未執行である。三人ともが父親を激しく憎んでいるという共通点があるという(P.179)。父親を憎み、社会から疎外され、社会とコミュニケートできなかった人間たちである(P.179)。
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