最近、中学校の教師をしている友人から驚くような話を聞いた。生徒に「将来の職業観」を尋ねたら、
「ひきこもり」と答えた子が何人もいたというのだ。
その理由として、「遊んで暮らせる」「パソコンやゲーム三昧でもご飯が食べられる」など、ひきこもりに対する安易なイメージが先行しているらしい。
だが実際、本書で紹介されるケースから明らかになる「ひきこもりの苦悩」は、当事者はもちろん、家族にとっても深刻なものだ。
何かの理由で、一度社会の流れからはずれたら、なかなか戻れない。そして結果的にひきこもりになってしまうという現実は、今社会の中でなんとかしがみついている人にとっても、決して無関係な話ではないだろう。
「ひきこもりの親の会」を主宰する方が、本の中で「こんな偽物の社会はおかしい、と誰もが思っている。その問いかけの切り口になるのがひきこもり」と語っている。
これから将来を切り開くはずの中学生が「ひきこもりに憧れる」なんて、まさに「偽物の社会」への強烈な皮肉なのだと思う。いろいろ教えられ、考えさせられる一冊だった。