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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
絶望の中の献身,
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レビュー対象商品: ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) (文庫)
「航路」を読み終え、あまりの感動に、物語が終わってしまった欠落感に耐えられず、同じ著者のこの本を購入しました。「航路」以上におもしろく、ぐいぐい引き込まれました。「航路」においては、真実を求める人間の姿が臨死体験の意義のメタファーになっていましたが、本書ではストレートに、伝染病と対峙する生身の人々が描かれていました。「航路」と共通するのは、「急いでいるのに引き留められ、なかなか目的地にたどり着けない」というもどかしさです。そんな中で主人公たちは献身的に、目の前で苦しむ人や大切な人を助けたいと努力します。希望に満ちて過去にやってきた主人公は絶望へと落とされ、そして成長を遂げ、自分の帰還も人々の命を助けることもほぼ不可能と悟ってからも看病をやめようとはしません。その姿勢こそ人間の証、その人々の営みこそが歴史なのだという、筆者の暖かなまなざしの中、奇跡を信じて努力を続ける主人公の姿がたんたんと描かれます。ドゥームズデイ・ブックとは、主人公が手首に埋め込んでいた口述記録装置に記した日記のこと。各章の冒頭にそこからの引用が載ります。これが未来に届いているということは、主人公は無事に帰還できたということ?それともこの日記は14世紀の遺跡から回収されたもの? 絶望の中の献身の物語はカタストロフへとどんどん滑り落ちていき、やがてドゥームズデイ(最後の審判)を迎えます。
27 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
良作品ですが「感動作」と言って良いのだろうか?,
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レビュー対象商品: ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) (文庫)
タイムトラベルにより女子学生の歴史家が14世紀へ調査に赴くが、送り出した側のトラブルで困難な状況に陥る。無事に21世紀へかえる事は出来るのか?というあらすじで、21世紀と14世紀側の物語が平行して進みます。特筆すべきは14世紀での当時の生活の描写について生々しい物語が展開されている点です。特に当時の疫病について、知識として知っている事を、どれほど悲惨なものかについて疑似体験させてくれる点であると思います。 ただし、確かに「泣ける」のですが「心洗われる感動」と言うより「悲しい泣」です。冬の林の中の様な悲しさと、ままならない厳しさを感じました。よく言う感動作と違った複雑な読後感です。主人公の健気で機智に富んだ姿に好感が持てます。 追記:悪い点を一つ。ダラダラ書いており同じ様な文章が多い。1冊に話を圧縮してれば文句なかったのに・・。
5つ星のうち 4.0
コニー・ウィリスが苦手な私でも良作として人に薦めたい,
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レビュー対象商品: ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) (文庫)
コニー・ウィリスは何冊も読んだあとで、私には合わないなという結論に至ったのですが...ではなぜ何冊も読んだのかというと、最初のころ読んだ本書だけは気にいったからなのです。理論的には怪しげですが時間旅行が可能になっていて、歴史の学生が過去にフィールドワークに出る。ただその年代にずれが生じてしまったために、主人公キブリンはペストの蔓延する中で人々が死んでゆくのをほとんどなす術もなく見ている。同時に本来の時間帯では、インフルエンザにより担当教授が倒れ、教授陣の死者も出ている。 まるで身もふたもない暗い話のようですが、そして実際に決して明るいユーモラスな話ではないのですが、女子大生である主人公の無力さも含めて淡々と描かれる病の情景には、身を切る悲しみや人間の命への慟哭といった大きな感情的揺さぶりととはまた違った、静かで深い生死への感覚が研ぎすまされます。 時間旅行が可能な社会においても、インフルエンザで命を落とす人が多数いるという設定も非常にリアリティがあります。人間の生命体としての強さと弱さ、思考し感情を持つものとしての愚かさと優しさが読み取れる良作として、ウィリスの愛読者でない方にもお薦めできると思います。
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