私はよいドゥルージアンではない。私にはジル・ドゥルーズという人の素晴らしさが未だに今一よくわからないのである。
そんな私であるが、この本だけは是非ともお奨めしたい。私のように「齧り」たいだけの「初学者」にとってはたいへんお手ごろの一冊である。平明で網羅的で教科書的な良質の「入門書」である。用語集として、辞書的な用い方/引き方もできる。見開き2ページでひとつの項目、キーワードが概説されている。原典からの引用もある。本書で扱われている89のキーワードは以下の通り。
「潜在的なもの」「持続」「生」「肯定」「力」「記号」「習得」「視点」「問題」「哲学史」「思考のイメージ」「ユーモア/アイロニー」「問い」「差異」「反復」「永遠回帰」「一義性」「シミュラクル」「不均衡」「先験的経験論」「強度」「愚鈍」「遭遇」「表現」「個体」「多用体」「先験的領野」「特異性」「構造」「無−意味」「意味」「表面」「セリー」「出来事 非物体的なもの」「戦争」「ダンサー 表象=上演」「アイオーン/クロノス」「パラドックス」「発散」「ノマド」「器官なき身体」「書物」「断片」「二人で書くこと」「欲望 欲望する機械」「流れ−切断」「分裂分析」「分子的なもの」「有機的なもの」「自然」「マイナー文学」「エクリチュール」「厳密な非正確さ」「簡素さ」「生成変化」「線」「リゾーム」「プラトー」「地層」「ダイアグラム 抽象機械」「アレンジメント」「領土・脱領土化」「その場での旅」「幼年期のブロック」「戦争機械」「逃走線」「顔貌性」「識別不可能性ゾーン」「マテリアル−フォルス」「平滑空間/条里空間」「触視的」「感覚」「歪形」「運動イメージ」「時間イメージ」「結晶イメージ」「歴史」「地図作成」「此性」「主体化」「襞」「概念」「ペルセプト/アフェクト」「リトルネロ」「消尽したもの」「批評と臨床」「スタイル」「闘い」「内在」
である。私の場合、上に列挙した89の術語のうち、半分、否、四分の一くらいしかわからない。
キーワード解説の後に「ドゥルーズ・ビブリオグラフ=文献リスト」「ジル・ドゥルーズ略年譜」「Index 1・アイウエオ順」「Index2・abc順」「人名索引」が続く。サッと読んでみたところ、矢鱈とベルクソンの名前が目についた。
またこの本に似たものとして、Robert SASOO & Arnaud VILLANIほか篇『Le Vocabulaire de Gilles Deleuze』をお奨めしたい。日本語にすれば『ジル・ドゥルーズ術後集』とにでもなるのだろうか。「A-Z」順で、「A」の「ACTUEL/VIRTUEL=現実的なもの/潜在的なもの」から「Z」の「ZONE D’INDISCERNABILITE=識別不可能性ゾーン」まで。それに加え、再び「A」の「Agencement=アレンジメント」から「V」の「Voisinage=近傍」まで。とにかくかなりの数のドゥルーズ用語が取り扱われている。紛らわしいものに、Francois ZOURABICHVILIという人の書いた『Le vocabulaire de Deleuze』という、100ページにも満たない、パンフレットのような薄っぺらな本がある。ご注意されたし。私のお奨めするSASOO&VILLANI『Le Vocabulaire de Gilles Deleuze』は375ページの、比較的厚めの本である。