対訳本の読み方は人それぞれで、また、難易度によっても違うが、本書の場合、原文は(語彙は別として)比較的難度が低いので、まず日本語のページを隠して原文を読み、1ページ終わったところで訳文を確認すると軽快に読める。
私が原書や対訳を読むとき、何とか読めそうなときはまず原文を通読し、構文や単語で引っかかったところは後で確認することにしている。 そうしないと、数十ページの薄い対訳本や原書でも、読み通せるものではない。
著者はドイツ出身、日本のオーケストラに在籍するチェリストで、本書の内容は器楽に纏わる話題が中心となっている。 従って、何らかのクラシックの楽器を愛好し合奏・重奏経験のある人なら、心当たりのある愉快なエピソード(言語外事実)が満載なので、すんなり内容に入っていき易い。
紙質が余りよくない代わりに軽くて薄い新書判なので、コートのポケットや鞄の片隅にも入るから、通勤時間、昼食時、職場のコーヒータイム(いまどき、そんな呑気な職場があるとすればだが・・・)など、意識してドイツ語の勉強モードにならなくても読める。 コーヒーを片手に読むのが、本書の書名に相応しい。
私の見たところ、本書のドイツ語レベルは独検3級以上、準1級以下の初〜中級向けで、概ね素直な構文と見受ける。
但し、語彙は当然ながらクラシック音楽に関係するものが多いので、この分野に興味がない人には面白くない。スポーツ観戦が嫌いな人に、野球やサッカーの本を(日本語だろうと外国語だろうと)読ませてもしょうがないのと同じである。
値段もリーズナブルなので、手頃な独日対訳本としてお薦めできる。