「ドイツの美味しい食べ物、そして、食べ物にまつわる愉快な話を紹介するというのが、
私の魂胆であり、本書の趣旨である。……25年のドイツ生活で、いろいろなお料理に
巡り合った。これから、それらのいくつかを紹介していきたいと思う。それと同時に、
ドイツ人の性格や、ドイツの美しい四季、そして、ドイツの何気ない日常生活の様子も
垣間見てもらうことができるなら、私にとってこれほど幸せなことはない」。
基本的には筆者の半径3メートルの食生活系エッセイ。良くも悪くもブログ的な、
プロフェッショナル、食通気取りのないテキスト。
その素人臭さを言い訳にした自己主張が鬱陶しくなる瞬間もあるのだが、基本的には
頭を使わされる強迫性もまるでなく、さくさくとストレスフリーで読めるテキスト。
表題とは裏腹に、冒頭から適宜、ドイツ料理や文化へのdisりが入っていたりもして、
そのあたりのバランスが読みやすさに寄与しているのかもしれない。
本書の長所と言えば、地に足のついた筆者の感覚だろうか。その日常性ゆえだろう、
読後感として、ドイツ料理店に出かけてみたい、というよりは、本国を訪れてみたい、
自分のキッチンで調理してみたい、といった気持ちにさせられる一冊。
個人的には、マウルタッシェとレバークネーデルズッペだけでドイツ料理最高、
少なくともイタリアンよかうまいな、って感じですが。