いったい岩波文庫に入れる意味があるのかどうか怪しい本である。詩人ハイネ、つまり哲学の素人が、フランス語で書いた入門書だが、神の否定にいたる哲学史を概説しているのだが、第二版の序で、神を否定したのは間違いだったと述べており、訳者はこれを残念なこととしている。だが哲学史ならもっとまともな本がいくらでもあるし、いろいろあてこすりやら当時の情勢もからんでいて、頭が痛くなる。要するにマルクスの友達だったというので岩波文庫に入っているだけ、としか思われない。キリスト教もマルクスもどうでもいい人にとっては読む必要のない本である。