私は合唱団でバッハやシュッツなどドイツ語の合唱曲を歌うことが多いのですが、ドイツ語の発音と頭声発声については、指揮者から厳しく言われます。ですから、東京では、あるいは最近の日本の声楽家や合唱団では、ドイツ語はカタカナ発音では歌われず、やたら大声でがならないもんだと思っていました。けれども、色々と聴いてみて、やはり依然として、インチキ発音・インチキ発声がまかり通っていることが分かってきました。
本書の筆者とは、友人のオルガニストを介して知り合ったのですが、ずばり上記の問題意識を持ち、ドイツ留学を通して学んだほんとうの発音と発声を世に問おうと日夜励んでおられる姿に感動しました。インチキの音楽家は有名無名を問わず、たくさんいます。筆者の本は、そうしたインチキを駆逐する、いわば「剣」でしょう。
音楽学者として、また一人の合唱人として、推薦いたします。