日本人はドイツには行動や思考過程など何かしら似たものを感じて親しみを感ずる部分があろうが、といってドイツの地域ごとの歴史や文化を詳しく知ってはいない。
著者はサラリーマン〈銀行員〉でありながら、通算14年もドイツに暮らし、「ドイツ好き」になった典型的な日本人なのであろう。
難しく言えば「ドイツ地域比較文化論」かもしれないが、日本人には極めて分かり易く書かれており、あらためて現在のドイツとはこういう国だったのだと教えてくれる。
「地誌 」というのはとんでもなく広範な知識とそれぞれの項目について深さがないと、研究にならない学問で、現地に永く入り込んだ経験と、決してそれに染まりきらない視点を要求されるが、本書は見事に昇華している。
各章それぞれが専門分野で専門書が一冊できるほどの内容を、分かり易い文体で著しているのが特に評価できる。
併せ、エピソードに著者の「とんでもなく広範な知識と行動」が謙虚にあらわされている。
今後の研究発表を期待したい。