学生時代はひきこもり、大学中退、職ナシ、あてナシ、彼女ナシ……な典型的駄目人間が、
上京してからの再生を描いた「実話をもとにしたフィクション」。
絵を描く仕事をしたいから他の全てを犠牲にして努力し続ける話ではなく、
できることもやりたいこともない無気力な若者が最後に見つけたのが絵だった、という話なので、
サクセスストーリーにあるようなカタルシスはありません。
でも、そういう五里霧中状態の主人公に共感を覚える人も、少なくないんじゃないでしょうか。
前半の、不安や恐怖や後悔がぐるぐる廻る悶々とした日々を過ごす青年の心理描写には、凄みすら感じました。
そして後半は、友人知人の手を借りて徐々に社会復帰をしていくヒューマンドラマになっています。
単なる苦労話ではなく、人と人とのつながりによって更生していく話で、そこが一番の読みどころでしょう。
これはちょっと上手くいきすぎだろう、と思わなくもないですが、人脈やコネやマンパワーにはこれだけの力・可能性があるよね、とも思ったり。
人生は誰にとっても過酷だけれど、だからこそ人に優しくなれる一瞬があるのだと思います。
【追記】(09/01/25)
「この本の作品はすべて作者のブログで見ることができる、
紙媒体だけの書き下ろしやおまけ作品はなく、私はそれを知らずに買ったので少し残念、
なので興味の湧いた方はまず検索してみるとよい」
という旨のことを書いた部分がいつのまにか消されてしまっています……。
これは誹謗中傷の類ではなく、れっきとした“事実”ですし、
評価について有用な情報だと思うので、納得できないのですが……。