優等生なんだけど周りからの自分像に、自分自身はちょっとなじめないというような主人公の性格設定は、『その角を曲がれば』『フュージョン』と、わりと似通ったところがあり、物語の大枠の雰囲気も似ている。『その角を曲がれば』では、あの年頃の複雑で微妙な人間関係をたんたんと描き、『フュージョン』はそうした人間関係のキャラをさらにたててメリハリをきかせつつも、設定をすべて生かしきれずに終わっていた。そして『トーキョー・クロスロード』では、『その角を曲がれば』の静かな淡いトーンを生かしつつ、クライマックスに向けてじっくり物語を熟成させ、感動のラストにすべりこむその技は実に見事。ここでさらに進化した濱野ワールドを見せてくれている。設定はだいぶ違うんだけれど、子どもの頃だいすきだった『四年三組のはた』という児童小説を思い出した。