表紙がミュージシャンの「杉ちゃん&鉄平」であり、巻末には鼎談が載っていることから、本書はまず「杉ちゃん&鉄平」の楽しい冗談クラシックありきの、音楽の「周辺領域」を扱った本であることは明確である。
ネット上では他でも「載っているクラシックトリビアが薄い」という意見を散見したが、「ちょっとクラシックっていいかもね」くらいに思っている読者にはいい塩梅のモノであると思う。きっと、本書はそういう人のための本なのだから。
他の、たとえばニコニコ動画のMADであるとか、サイエンス方面の音楽トピックなども「音楽周縁」を扱った記事であることは共通しており、全体の構成に矛盾はないと考える。
なお、明木茂夫氏の記事は教育における「情動か、理論か」という、戦後日本が分化させ、なぜか「両立しない」と思わせてきた理念に疑義を呈するという意味において、「トンデモ」という領域を超えてたいへん重要な示唆を含んでいる。
そしてまた、庶民感情においては「情動」が常に勝利するというジレンマに、教育者は立ち向かっているのだと考えさせられる。