登録情報
|
この本のオリジナルの題名は、『Nine Crazy Ideas in Science』で、これは、明らかに「変なアイデア」に対しても頭ごなしには否定せず敬意を持って書かれた本であって、疑似科学への攻撃を目的として書かれた本ではありません。取り上げられている例についても、主張している人の論拠の問題点や誤りを指摘しつつも、最後まで「これは間違いである」というような決めつけを避けていますし、結局「正しいか間違っているか結論を出せない」という形で終わらせている章もあります。
したがって、珍奇な疑似科学をバッサリ切り捨てて笑うような話を期待している人には、おもしろくないでしょう。もしかしたら、この本の著者が取っているような慎重な態度を生ぬるいと思うかも知れません。
しかし、トンデモ科学を馬鹿にして楽しむ段階を卒業し、科学的に考えるとはどういうことだろうかという点に興味を持っている人にはお勧めの一冊だと思います。
本の内容には文句ないのですが、本を読み終わった後で、この恣意的につけられた日本語の題名を見るとやや不快な感じがしますので、星はひとつ減らします。商売の都合はあるにしても、もう少しつけようはあったはずです。
きちんとした検討なので、各種理論のおさらいから、統計処理のあれこれ等々についてのていねいな見直しが行われている。「トンデモ本の世界」ほどは気軽な読み物じゃないし、読み終わって、これまでただの奇説としか思っていなかったものが、実は意外にしっかりした根拠を持つことを教えられて驚くこともしきり。そしてその課程で科学のプロセスも教えてくれる。いい本です。
取り上げられた学説には、例えば、8タキオンは存在する、9宇宙の始まりはビッグバンではない、など、その道にかなり詳しくなければ反証の内容が理解できないものもあるが、大部分は読めば理解できる。特に、6石油、石炭は生物起源ではない、については、私の中のこれまでの常識を覆して説得力のある説であり、なるほど、と唸った。
考えてみると、科学の世界はいつも、珍説・奇説だらけなのかもしれない。ダーウィンの進化論しかり、ガリレイの地動説しかり。その中から、多くの学者と長い年月にわたる検証に耐えうる説が「ほんもの」になっていくのであろう。
とはいえ、エセ科学とそうでないものの見分け方は本当に難しい。超能力やら永久機関やらは放っておいても害はないが、例えば『最新の』ダイエット理論や『最新の』ガン療法などは、健康や命に直結するだけに恐ろしい。人はどういうわけか、好んでエセ科学の餌食になるようなところもあるし、なかなか、世の中を普通に渡っていくのも、大変である。
|
|
|