「偽史」に焦点を当てたトンデモ論考集。抱腹絶倒の一冊というよりは、だいぶ質実剛健なハードな方向に軸足を置いたものだ。
原田氏は「トンデモ」世界から足を洗ってと学会に転向した経歴を持つだけあって、豊富な経験と透徹した視点が特徴だ。
本書はシオン議定書、古朝鮮問題、ニセ天皇、石器ねつ造など比較的よく知られた話題からマイナーなものまで歴史に関するものを取り上げ、客観的に分析して、なぜそんな「トンデモ歴史」が生まれたか切り込んでいく。
すでに冷戦終結やオウム事件から一回り以上の年代が経ち、トンデモ歴史を笑ってすますことはできない。正しい歴史哲学や認識が日本人に共有されているとは到底言えない。そこに一石を投じる一冊だ。
むろん、この本を鵜呑みにするというのもそれはそれで問題がある。まずは一次史料にあたり、自分の頭で考え、自分の言葉で論じることだ。それがすべての第一歩だ。