本書は皆神氏と有澤氏の共著ですが、およそ1/4を皆神氏、3/4を有澤氏が執筆しています。
有澤氏はもともとフリーメイソンに関する本を執筆していますが、これまでの知識と英語の文章を読み解く能力を存分に発揮しています。
やや影の薄い印象の皆神氏は、おそらく本書の立ち位置と内容の信憑性を示すブランドの役割を果たしているのでしょう。
フリーメイソンは実はそれほど秘密の多い組織ではないのですが、誤解や偏見だけはやけに多いというのが正直な感想です。
フリーメイソンとは、平たく言えば社交クラブや友愛会のような働きをしてきました。
要するに学閥程度のコネになることがあるのかもしれません。
コネがあると分かればそれを利用したいと思う人の数は増えることになります。
結果的に会員は便宜を図る人の数を多く上回ることになるのです。
会が大きくなれば、コネのようなご利益は相対的には薄れてしまうことになります。
それならば現代においてフリーメイソンに所属することに何のメリットがあるのだろうかと疑問が生じます。
実際のところフリーメイソンのメンバーは減少し続けているとのことで、「まあ、そうだろうな」と納得してしまいました。
昨今フリーメイソンをキーワードにして小説が書かれたりテレビ番組が製作されています。
それらを見ると「フリーメイソン」とつければ何を言っても良いのかというくらい破綻した論理構成が目立ちます。
本書を読めば、論理ウンヌン以前に事実関係の誤りについて「そこ違うんじゃない?」と突っ込めるようになれるでしょう。
たとえば「フリーメイソン」はその組織を指す場合とメンバーを指す場合では呼称が違うといった基本的な事項から、カーネル・サンダースや坂本竜馬、アメリカ1ドル札の図柄に関するその手のネタまで幅広く押さえています。
結局のところフリーメイソンで得をするのは、フリーメイソンをネタにして本やテレビ番組を製作する人なのかもしれません。