「動く標的」(1966)、「新・動く標的」(1975)と続く探偵ハーパーシリーズの血脈がまだ残っていた。時間的に短い作品なので、全2作に比べてミステリー性は低いが、ハーパーの晩年はこんな感じかもと思えば、名優揃いも手伝って、意外に楽しめる作品。リース・ウィザースプーンの役どころは、パメラ・ティフィンと言うよりは、メラニー・グリフィスと言ったところか。彼女は「キューティーブロンド」(2001)で知ったのだが、「ウォーク・ザ・ライン君につづく道」(2005)で大化けして、アカデミー賞主演女優賞に輝く事になるとは思わなかった。1998年のこの作品では、その魅力の開花する少し前の彼女を観る事が出来る。2008年に惜しくも83歳で亡くなったポール・ニューマンは、この時73歳。枯れ始めているとは言え、そこは彼の事。しっかりハードボイルドしていて、嬉しい。ハンフリー・ボガートの探偵は理想だが、居そうな探偵はニューマンの演じる探偵だろう。ちょっとだらしなくて、頼りない感じを持たせるのだが、やはり格好良くハードボイルド。悪役の探偵を演じるジェームズ・ガーナーとの対決も、この手の映画の決まり事をしっかり踏まえてくれていて、泣ける。ダイハードでベレッタ92Fが使われて以来、主人公の使う拳銃も派手になり、やたらドンパチが多くなってしまった。あれでは市街地版の戦争で、ロマンの欠片も無い。たまには良いけれど、やはり、しっかりしたハードボイルド映画を観たいのは、私だけだろうか。痩せ我慢を演じられる役者も、居なくなって久しい...。