「トロイの木馬」や「不死身の勇者アキレス」という誰でも知っているであろう題材を、見事な群像劇・叙事詩として魅せてくれます。
名誉のためならば意に沿わない王の下でも部類の強さを見せるアキレス。その一方でどこか戦いから身を引きたいと切望し苦悩(すねてるだけ?)するこの伝説の英雄と、民のためにも無益な戦争を回避したいと望むにもかかわらず、愚かな弟王子と神に依存し自分たちは絶対に敗れないと過信する父王を愛するあまり、戦いに身を投じてゆくヘクトル王子。
この二人が本意ではないまま剣を交える一騎打ちのシーンは、迫力に溢れながらも悲しく、そして残酷で、胸が締め付けられる思いでした。
悲劇が悲劇を呼び、滅び去ってゆくトロイの城の情景は、平家物語の「盛者必衰の理」にも通じる「哀れ」を禁じ得ません。同時に勝者であるはずのギリシャ軍にも名誉も栄光も見出せないラストはとても切ないものです。
そして、これまでのように名誉のためでなく、愛のために戦ったはずのアキレスは、言い伝えのように「アキレス腱」を射抜かれ遂に倒れます(オーランド・ブルームはやはり剣よりも弓ですか?)。しかし、実は彼の本当の「アキレス腱」はヘクトルに誤って殺されたいとこや愛した女性の存在であったというのも、この物語に、ただの「英雄伝説」に終わらない深みを与えてくれています。