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ここでアキレスはブラッド・ピットはハマリ役かもしれません。唇のない男。彼の今までの役柄の性格といい、原作に描かれている性格といい、風貌といい。ヘレンは当初写真で見た限り「ええ~!?」という印象が強かったのですが、スクリーンで見ているうちに、だんだん許せるようになりました。美しい女性ですね。あとハマリ役として、パリス演じるオーランド・ブルーム。前作の『ロード・オブ・ザ・リング』では弓の名手だったから、原作を知らない観客は「ロード・オブ・ザ・リングのエッセンスを持ってきた」などと勘違いするかもしれませんね。それは困りもの。なぜなら今から3000年も前に既にこのシーンはホメロスやアオイドスの面々に、歌われて続けているのだから。オーランドに演らせたら、原作を読んでいない人がそう思うのも無理もないかもしれませんね。
あっという間のエピソードの中でも、個人的にほほえましかったのは、パリスがアイネイアースにトロイの剣を渡すシーン。西洋人としては、絶対にこのシーンは外せなかったんだろうなぁ、と思いました。ローマ誕生!
出来ることなら、ショーン・ビーンを主人公に立てて『オデッセイアー』を製作してもらいたいものです。何年か前のコッポラ監督/アーマンド・アサンテの『オデッセイアー』も捨てがたいものがありますけど。
名誉のためならば意に沿わない王の下でも部類の強さを見せるアキレス。その一方でどこか戦いから身を引きたいと切望し苦悩(すねてるだけ?)するこの伝説の英雄と、民のためにも無益な戦争を回避したいと望むにもかかわらず、愚かな弟王子と神に依存し自分たちは絶対に敗れないと過信する父王を愛するあまり、戦いに身を投じてゆくヘクトル王子。
この二人が本意ではないまま剣を交える一騎打ちのシーンは、迫力に溢れながらも悲しく、そして残酷で、胸が締め付けられる思いでした。
悲劇が悲劇を呼び、滅び去ってゆくトロイの城の情景は、平家物語の「盛者必衰の理」にも通じる「哀れ」を禁じ得ません。同時に勝者であるはずのギリシャ軍にも名誉も栄光も見出せないラストはとても切ないものです。
そして、これまでのように名誉のためでなく、愛のために戦ったはずのアキレスは、言い伝えのように「アキレス腱」を射抜かれ遂に倒れます(オーランド・ブルームはやはり剣よりも弓ですか?)。しかし、実は彼の本当の「アキレス腱」はヘクトルに誤って殺されたいとこや愛した女性の存在であったというのも、この物語に、ただの「英雄伝説」に終わらない深みを与えてくれています。
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